すべての不調は自分で治せる 藤川徳美著

1.著者の紹介

著者は広島の精神科医。気分がすぐれない、やる気が出ない患者が多い。ウツ、パニック障害の患者が多い。慢性疾患の患者が多い。ADHD、リュウマチ、アトピ-、神経難病、ガン、糖尿病などの患者が多い。あらゆる慢性疾患は分子栄養学で治せる。栄養を重視しない医師が多い。栄養を勉強している一般人の方が優れている。三石理論(分子栄養学)、オーソモレキュラ-(ギリシャ語で「正しい」を意味するオーソ(Ortho)」と、「分子」を意味する「モレキュラー(Molecular)」を組み合わせたもの。ビタミンやミネラル等の栄養素を正しく取り入れることで、病気の予防や治療を行う医療)。バランスがいい食事というのは実は栄養不足であるということ。質的栄養失調になっている。糖質過多、たんぱく質不足、脂肪酸不足、ビタミン不足になって自分で病気になっている。もっとも必要な栄養は炭水化物ではない。タンパク質とミネラル、ビタミンの絶対量をとることが重要。この絶対量とはその人が摂取できるMaxの量。

2.たんぱく質をとる(1)

タンパク質が最重要な栄養素。DNAにはたんぱく質の作り方が書いてある。代謝とはアミノ酸からタンパク質を作っては壊す過程のこと。タンパク質がたくさんあれば病気が改善していく。たんぱく質が十分でないため不調が起きる。したがってタンパク質がたくさん摂取されて代謝が機能すれば病気は改善する。これが自然治癒力。たんぱく質の必要量は体重×0.1%である。したがって50キロの人であれば50gである。それ以上摂取しても体外に排出される。しかし最初は慣れていない人は最初は10g程度でよく徐々に増やしていけばよい。プロテインはソイとホエイがあるがホエイが効果がある。さらにホエイには2種類ありWPC(乳頭あり)とWPI(乳頭なし)がある。女性はやや飲みにくい人が多い。その人は1日5gでもいいので2~3月は続けて飲んでいく。プロテインを飲んでいれば薬の効きがよくなる。さらに鉄剤などが飲めるようになる。元気になる。疲れにくくなる。著者によると精神的に不調で休職した人がすべて例外なく復職したという。

3.たんぱく質をとる(2)

タンパク質をとっても改善しない場合

(1)規定量のプロテインを飲んでいない。

(2)糖質制限がされていない。パン、ごはんを食べない。甘いものをたべている。これでは改善しない。 肉、魚、卵を食べる。

(3)病気の期間が長い人は時間が長い。10年薬を飲んでいる人はプロテインを飲んでも2年はかかる。

(4)高齢者はプロテインを飲んでも時間がかかる。細胞の変わるのは20歳ぐらいの子でも1回の細胞が変わるのは1か月、それが3回必要なので3ケ月かかる。50歳では1回が100日で3回だから1年はかかる。70歳の人は1回が200日なので3回は600日、すると2年はかかる。

どれも糖質制限が必要である。また季節の変わり目に弱い。心理的に脆弱。こんな人はタンパク質が必要。タンパク質過剰の人はいない。普通の人はたんぱく質不足になる。妊娠中、授乳中はタンパク質、鉄分は必要。プロテインが摂取できなければゆで卵を5個食べること。タンパク質の目安は(BUNが8.0~20.0mg/dL タンパク質が代謝されると最終的に尿素となって腎臓から排泄される。この尿素中に含まれる窒素の量が尿素窒素です。尿素の中の窒素は一定なので、血液中の尿素窒素が増えるということは代謝されたタンパク質の量が増えた、すなわち沢山のタンパク質を食べた、あるいは腎臓から尿素の排泄が悪くなったかのどちらかとになる。通常ではクレアチニンと併せて腎臓の機能の指標。)

BUNが10以下 最もタンパク質が不足している。

BUN 10~15 規定量が不足。改善まで数年かかる。

BUN 15~20 プロテインがまだ必要。(藤川氏が必要とする基準で20以上が必要としている)

BUNとクレアチニンの両方が高い場合、腎臓障害の疑いがある。BUNとクレアチニンの両方が低い場合、肝機能障害の疑いがある。

4.鉄分をとる

うつ、パニック障害は鉄不足が多い。フェリチンは肝細胞を中心に全身にある。鉄と結合しているタンパク質でヘモグロビンは血液の中で活動している鉄でフェリチンは貯蔵されている鉄である。フェリチンが欠乏しても欠乏症状がでる。特に女性でイライラする、元気が出ない、頭痛、冷え性などの不定愁訴は鉄不足であることが多い。月経前のPMS症候群はフェリチン不足である。フェリチンは100以上あればいいとされる。日本女性の20歳から49歳の場合フェリチン値は30以下が70%、100以上あるのは20歳代で0%、30歳から40歳代で0.3~1.9%である。フェリチン値が上がらない人は高たんぱく、抵糖質の食事の徹底が必要である。鉄はキレ-ト鉄がいい。海外では鉄不足になっていないのは鉄分の多い肉を食べている。ほうれん草、プル-ンなどに含まれる鉄は非ヘム鉄(植物性のでありこれは大変、吸収効率が悪い。鉄をとる場合はビタミンCを一緒に飲む。鉄をとるときにはビタミンEは鉄を阻害する。

5.ATPを増やす

ATP(アデノシン三リン酸)エネルギーの運搬、貯蔵、供給をする役目をする。ATPが不足すると慢性疾患になる。ATPではグルコ-スと脂肪酸が必要である。グルコ-スは細胞に入ってピルビン酸を作る。そしていろんなビタミンを消費していくが作られるATPが非常に少ない。脂肪酸はダイレクトにATPをたくさん作る。甘いものがやめられないのは意思が弱いからでなく体がグルコ-スが欲しがる。しかしグルコ-スから作られるATPは僅かなのでさらに体がグルコ-スの甘いものをほしがるからである。したがって脂肪酸から作られるATPの方が効率的である。これをケトン体代謝という。このケトン体代謝になると甘いものが欲しくなくなる。そのためには脂肪酸の油(肉、卵、チーズ、バタ-、ラード)をとることが必要となる。

6.メガビタミンをとる

たくさんのビタミンをとることが必要。普通の食事では糖質が多すぎる。糖質は栄養素ではない。糖質はビタミン、ミネラルを大量に消費してしまう。人が必要とするビタミンは先天的に決まっている。ビタミンの代謝は個体差がある。ガンの家系とか糖尿病の家系とかいうのは先天的リスクがあるのではなくて先天的に必要とするビタミンが不足しているからである。糖尿病の遺伝子とかガンの遺伝子があるということではない。ミネラルは必要量とっていればいい。しかしビタミンは人によってとる量が違う。ビタミンの必要な状況は加齢、心理状態、ストレス、食事内容、服薬、合併症では後天的に必要となる。

まず必要なのは高タンパク質で低糖な食事。そして1日に必要な量は鉄(100mg)、ビタミンB(100~300mg),C(3000~9000mg),E(400~800IU)

はじめ方 男(15歳以上)プロテイン、ビタミンB(100~300mg),C(3000~9000mg),E(400~800IU) ほとんどの男性は鉄が必要でない。

女(15歳以上)プロテイン(5g×3)、プロテインが飲めるようになったら鉄、ビタミンB(100~300mg),C(3000~9000mg),E(400~800IU)

7.日本の医師は栄養を知らない

論文の99%がスポンサーがメガファーマ-(大手の製薬会社である)。研究者やスポンサーにとって都合の良いことだけが発表される。ビタミンは危険であるという論文が多い。しかし実態的な研究の裏付けがないものが多い。臨床の裏付けの無いものは信用できるわけがない。科学的治療理論のあるものは信用できる。血液検査だけで判断してはいけない。患者の動き、反応、言葉などの状態を判断しなければいけない。臨床なしに判断する医師が多い。臨床での患者の状態がすべてを表している。臨床と論文との乖離が多いのに論文を信用することが多い。信用できる論文は1%程度しかない。論文を書く研究費を調達するために論文を書いている。

8.日本の課題

医学部では栄養を教えない。理由は先進国では栄養失調などありえないということになっている。薬の臨床試験はゆがめられている。研究結果を製薬会社がゆがめている。特に向精神薬はメガファ-マ-の影響下にある。日本のサプリメントは非常に高い。ソイプロテインの取りすぎは甲状腺に影響がある。サプリメントではキレ-ト鉄がいい。ヘム鉄では効果が弱い。21世紀の勉強法は一般人の方が医師よりも詳しい。重要なネット情報は必ずチェックする。

すべての不調は自分で治せる 藤川徳美著

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